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- ハワイの新しい自然 - |
ハワイ島の南東に新しい火山島ができるかも
ハワイ島の西岸、カイルア・コナにJALの直行便が飛んで、今、ハワイ島が注目されています。 キラウェア火口を中心としたハワイ火山国立公園は、地球の息吹を目の当たりにできる観光スポットとして有名です。 ハワイ諸島は、地下のマグマが地表に噴き出る火山活動によってできあがったことはよく知られています。 地下深く(マン卜ルとコアとの境界付近)から立ち上がってくる熱いマグマの上昇流のことを「マントルプリューム」といいますが、これが地表に現れると「ホットスポット」と呼ばれます。 ハワイ島は今まさに「ホットスポット」の真上にあるため活発な火山活動がみられるわけです。 ところで、地球の表面は、数枚の大きな「プレート」と呼ばれる地域で区切られており、このプレートは、プレートの下にあるマントル物質の対流にともなって、相互にごくゆっくりと移動しています。 ハワイ諸島は「太平洋プレー卜」の上に位置しており、「太平洋プレー卜」は1年に10センチメートル弱の速さで西北西に移動しています。つまり、島がどんどん西に動いていくわけです。 一方、「ホットスポット」の位置はほとんど変化しませんので、ハワイ島の前には、マウイ島、モロカイ島、オアフ島、カウアイ島が、それぞれ「ホットスポット」の上を通過し、活発な時期を過ごしました。ですから、ハワイの島々は、西に行くほど年老いた自然を持っているのです。 1996年7月16日、ハワイ島火山観測所の地震観測ネットワークは、ハワイの火山活動によるものでは過去最大規模の激しい群発地震を観測しました。 震源は、ハワイ島の南東、約30キロメートルの海底でした。ここには、海面下あるため直接見ることはできませんが、立派な火山が成長しています。それが「ロイヒ海山」です。 「ロイヒ海山」の山項は、海面から約1,000メートルも下にあります。しかし、そのふもとは、水深4,500メートルの深い海底にあるので、差し引きの標高は3,500メートルにもなる、堂々たる火山なのです。 ロイヒ(Loihi)とは、ハワイ語で「長いもの」を意味するそうで、「ロイヒ海山」はその名のとおり南北に細長い形をしています。そして、この海底火山の大噴火が、激しい地震として観測されたのです。 「ロイヒ海山」は、ほんの数十万年前に誕生した新しい海底火山と推測されていますが、今回のような火山活動が5万〜10万年にわたって繰り返しつづき、ロイヒは火山島として海面に姿をあらわすだろうと考えられています。 ハワイ大学の研究グループにより、1996年8月〜10月にかけて大規模な海底調査が行われ、地震による多数の地滑りの跡や、海底には破壊された新鮮な枕状溶岩が散乱しているなど、明らかに大きな海底噴火が発生した様子が確認されました。 枕状溶岩とは、粘りけの低い溶岩が水で急激に冷やされて、まるで細長い枕のような形になったものです。 過去の調査で、「ロイヒ海山」の山頂には、260メートル(ドーム球場ほどの大きさ)の広大な海丘があったのに、今回の大噴火でこれがそっくり陥没し、深さ300メートルの巨大なクレーターに変わっているのも確認されました。 このような大きな変化にも関わらず津波は発生しなかったので、陥没はたいへんゆっくりおきたと考えられています。 水深約1,000メートルにある、大陥没でできた新しい火口は、ハワイ火山の女神「ペレ」の名を取り「ペレ火口」と呼ばれています。女神にふさわしい、新しい宮殿の建設が数万年にわたってつづいてゆくわけです。 |
| この文章は、科学雑誌『Newton』1997年2月号「ハワイに新しい島が生まれる? 〜海底噴火によって成長をつづける「ロイヒ海山」〜」(蒲生俊敬)から再構成しました。 |